神川町特集
事務所前に張り込むこと四十日四十夜、ついに私たちは神川町町長に会った。
我々取材班の突然の出現にも驚くことなく、彼は快く写真撮影に応じてくれた。
これがその時のスナップである。
そして、我々が東京からの取材だと知ると、おもむろに語り出したのである。
「ナスはナスでも、お父さんが会社でもらってくる……」
……この発言に関して、これ以上のことは、ここには掲載できない。
ジャーナリストとして不適格な態度ではあるのだが、これ以上のことは、ここには書けないのだ。
神川町町長のためにも、神川町の住民の名誉のためにも。
そして掛け軸のコレクションを我々にひとしきり披露した町長がお茶をすする手をふと止めると、
我々に向かってこう言った。
町長「お茶の手をとめて一緒にモクトウをするぞ」
取材班「町長、信心深いんですね」
町長「そうさ、俺の女房の葬式だからな」
……使命を果たした、と感じた我々は、神川町を後にした。
トップへ